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会長挨拶
国民の目を守るために
― 人生100年時代のロードマップ ―
会長 白根雅子
日本眼科医会は、昭和5年に創立され、以来90年にわたり国民の目を守り、我が国の保健・福祉の向上に寄与するための活動を積み重ねてまいりました。
本会は、14,500名余の眼科医で構成され、国民の皆様に最善の眼科医療を提供すべく、都道府県眼科医会、日本眼科学会、眼科関連団体*と協力して眼科医療に関する研究と公衆衛生活動に全力で取り組んでいます。
日本人の平均寿命は男性81.25歳、女性87.32歳となり1) 人生100年時代を迎えようとしています 。人が得る情報の80%は目から入ってくると言われています2)。清明な視力を維持し、大切な人の笑顔を見つめ、春には桜が咲き誇り秋になれば紅葉に彩られる美しい日本の風景を楽しみながら歳を重ね、幸せな人生を送っていただきたいと思います。
そのためには、子供の頃から目の健康を意識して暮らすことがとても大切です。乳幼児期は視力が発達する大切な時期ですから、3歳児健診できちんと視力を測って見えていることを確認しましょう。学童期に入ると、近視が進行しやすくなります。強い近視の人は将来緑内障などの目の病気をおこしやすいので、時々眼底検査なども受けられると良いでしょう。また、コンタクトレンズを装用する人は、正しく使って、生涯にわたりクリアな視界を保つために角膜を守ることが大切です。さらに、中高年になると、気づかないうちに生活習慣や身体の不具合に関連した網膜や神経の病気が増えます。視覚障害の主な原因である緑内障・糖尿病網膜症・黄斑変性等は、早期発見により目の健康寿命を大幅に延ばすことができます。そのために、本会では、公的な眼科検診の創設に向けての取り組みも進めています。
それでもなお、眼科医療の力が及ばない難病もあり、視覚障害を背負われた人は全国に180万人近くおられます。そのような方々には、生活スタイルに合った訓練を受けて仕事や社会参加を続け、充実した人生を送っていただけるように支援をいたします。視覚障害は、個人の生活を不自由にすると同時に、社会の生産性にも影響を及ぼし、その社会的コストは、年間で約8兆8,000億円とされています3) 。私たちは、政府が掲げるSustainable Development Growths (SDGs)に協調して、視力が衰えても社会に参加し生きがいある人生を送ることができる、視覚障害者に寛容な社会の構築に向けて、眼科医団体としての提言を発信してまいります。
ホームページや刊行物を通して私たちの活動を紹介し、新しい眼科医療の情報を発信していますので、皆様の目の健康のためにお役立てください。
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1)令和元年度 厚生労働省統計
2)教育機器編集委員会編「産業教育機器システム便覧」日科技連出版社
3)日本における視覚障害の社会的コスト 日本眼科医会研究班報告 2006~2008.日本の眼科 第80巻第6号 付録
*眼科関連団体 : 日本視能訓練士協会、日本眼科用剤協会、日本眼科医療機器協会、日本コンタクトレンズ協会